グランシャトーに行ってきました。

京橋のグランシャトーに行ってきました。

ここでグランシャトーについて簡単な解説。
大阪のJR京橋を降りて徒歩1分のところに、中世を髣髴とさせるラブホテル風のお城が六階建てでそびえ立っています。この六階建てのお城がグランシャトー

建物の中身は、一、二階がパチンコ、三階がキャバレー、四階がカラオケ、五階がサウナ、六階が中華料理屋となっています。このビル一つで殿方の欲望を上から下まですっきりと満たしてくれる、まさしく男のためのエンターテイメント・ビルディングです。

関西圏に住む住人であれば、深夜のテレビコマーシャルで
「京橋はええとこだっせ♪」のフレーズで親しまれている有名な場所でもあります。


齢(よわい)三十二歳を越えた今、そろそろ大人の社交場にも出入りしておかなければならないと思い、ネオンきらめく京橋に足を踏み入れました。


いざ、グランシャトーのビルを目にしての感想。

どこか時代から取り残されてきた外装。昭和のある時点から永久に止まってしまったかのような内装。ビル全体が昭和という時代のタイムカプセルそのもののように感じました。

期待と不安を交えながら、一路三階のキャバレー香蘭へ。三階まではエスカレーターで登っていきます。エスカレーターの周囲は青とピンクのやわらかいネオンが煌めき、不安に怯える私を優しく私を包み込みます。

さあ、いざ店内へ。


店内は赤を基調とした、静かで落ち着いた大人の空間。そこかしこのボックス席から歓談の声が聴こえてきます。私のお目当てである、ホステスのお姉さん達を見渡しました。

お姉さん、
お姉さん…
いえ、間違えました。
お母さん、
お姑さん、
お義母さん、
近所のおばさん…

人生の上り下りを三回ほど経験してきた、私の母親の年齢前後のマダム達が怪しい微笑で私を迎えてくれたのでした。このビルそのものが昭和そのものなら、ここで働いているホステス達もこの昭和を第一線で生きてきた錚々たるマダム達なのでありました。


「若造ですが、よろしくお願い致します」

昭和の末期生まれの若造は、なぜかいつになく背筋をピンと伸ばし、自分の席に付いた母親と同年代のホステスの千秋さんに敬語で挨拶をしたのでした。

若造は、自分の席にもう一人付いたフィリピーナのマリリンにタイ人に似た優しさを感じ、いつになくでれでれしておりました。傍らに千秋さんがいるため、母親に息子の放蕩姿を見られているようで、酔うに酔えない身でありました。


マリリンと一緒にステージで踊ったチャチャのリズムが忘れられない不思議な夜でした。