男、Danny Way
日本から男がいなくなった。
ヒーローがいなくなった。
恐怖心を越えて挑戦する男がいなくなった。
しかし、アメリカにはヒーローになろうとする男達が大勢いる。
ここに一人の男がいる。
ダニー・ウェイ
プロフェッショナルスケートボーダー
スケートボードに命を賭けている人間である。
若い頃、サーフィンで首の骨を折り、医者に二度と歩けないと言われながらも立ち上がってきた男である。
スケートボードの怪我で、幾多の外科手術を経験し、その度に立ち上がってきた男である。
2005年、彼はスケートボードで中国の万里の頂上を飛び越えた。練習のジャンプで着地に失敗し、足首を骨折している状態であるにもかからず、彼は成し遂げた。
倒れ、苦しみ、耐え、幾度となく立ち上がることを繰り返してきた。
そんな彼の言葉がある。
I'm exploring the boundaries of skateboarding.
俺はスケートボードの限界を切り開いているんだ。
普通なら、“自分自身の限界に挑戦している”、“自分自身の可能性に賭けている”という言葉が出てくるはずである。しかし彼は“自分自身”を語っているのではなく、スケートボードの可能性について語っている。彼自身は、スケートボードの可能性を追究している一人の男に過ぎないのだと。
こういう男がいるからこそ、彼と一緒にスケートボードの可能性を追いかける命知らずな男達がアメリカでは生まれてくるように思います。
「ダニー!俺も男だ!」
弱気になりそうな時、自分の可能性を見限りそうな時、私はダニーの背中を見て、強く心の中で叫ぶのです。失敗とは倒れることではなく、そのまま起き上がらないことだと。
倒れることさえはばかられる今の日本。
そんな中で、金があろうとなかろうと、男として立派な生き様を追究することをダニーと一緒に目指すのです。