おもしろきこともなき世をおもしろく

タイトルの俳句はかの高杉晋作の辞世の句ですが、巷には、歴史にその名前を残さない名言があります。俳句でいうところの“読みひとしらず”となっている言葉たち。

そんな名言の中から、私の好きなフレーズを数点取り上げたいと思います。

物事の表現には間接表現と直接表現があります。知性ある人達は間接表現を好みます。知性ある人達はそうあって欲しいと私は願っています。

「バカ」だとか「アホ」だとかを連呼するだけでは、人はカラスと大差ありません。過去の名言から、人類が育んできた知性の一端を学んでいきましょう。

「てめーこの野郎!」と大声を上げて喧嘩をする前に、「マジオレ、ホンキ、ヒップホッパ。ワルソナヤツハ、ダイタイトモダチ」とラップを口ずさみながら、戦いに挑みましょう。頭に完全に血が上った人間に勝利の女神がほほ笑むことはありません。


啖呵その一

「けつの穴から手突っ込んで、奥歯ガタガタいわしたろか」

一発目から男子限定の硬派な喧嘩用語から始まりましたが、かなり知能レベルの高い人でなければこのような科白は吐けません。

一見乱暴に相手を傷つけるかと思いきや、実は一切の殺傷の宣言がありません。あくまでも相手の奥歯をガタガタいわすだけに止めています。しかもよくよく分析してみると、恐怖で奥歯が震えているかと思いきや、実は相手によって直接奥歯をガタガタいわされているという恐怖。二重の恐怖が彼を襲います。戦わずして相手の戦意を挫く、強烈な締め付け語感のある言葉です。


啖呵その二

「ど頭かちわって、脳味噌にストロー差し込んでちゅーちゅー吸うたろか」

先ほどに比べ、頭をかち割るという暴力的な行為が最初に宣言されていますが、後半のストローでの吸い込み光景を想像すると、残酷な中にも動物的なかわいらしさがあり、前半の血が飛び散る光景を中和させる作用があります。いやー言葉っておもしろいですね。


歌詞その一

「あなたがその気で 云うのなら(ヨイヨイ)
思い切ります 別れます
もとの娘の 十八に
返してくれたら 別れます(サノヨイヨイ) 」

炭坑節
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このような粋な殺し文句をおなごから言われたら、男子たるもの男を見せなければいけません。誰にとっても戻すことのできない時間の流れ。おなごは大事にしましょう。


言葉その一

「人間の不幸をつかさどる神々は、ときおりその遊びにも飽きて、慈悲をたれることがある」

チャールズ・チャップリン

番外編として、匿名の作品ではなくチャップリンの言葉を挙げさせて頂きました。この言葉の受け取り方は様々ですが、上手くゆかない大人の世の中、「終わりよければすべてよし」に近い、運命の成り行きがもたらすふとした巡り合わせを示唆する言葉です。


参考資料「岸和田少年愚連隊
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